成年後見人がお金をだましたりしないような制度は

ニュースなどで、弁護士などの成年後見人が、本人の資産をだまし取ったというものをよく耳にします。このようなことが起こらないような制度はないのでしょうか?

A・後見制度支援信託と後見監督人、2つの制度があります

まずこういった事件があると、どうしても弁護士など士業の後見人のものがクローズアップされがちですが、実際の数からいうと親族による横領などの不正行為が全体のほぼ9割を占めています。専門家が後見人に就任することが増えてきたのに伴い、専門家の不正も増え、さらに額が大きいという傾向もあるため、ニュースになっているという事情があります。

そこで裁判所でも、後見人による使い込みを防ぐために、本人の財産のうち日常的な支払いをするのに必要十分なお金を除いた分は信託銀行等に信託するという、成年後見制度支援信託という仕組みを始めています。後見制度支援信託契約が締結されれば、後見人は日常的な支出以外にまとまった金額が必要になった場合、家庭裁判所に報告して許可を得ることになりますので、より財産管理が徹底されることになります。

また、親族が成年後見人に就任している場合に、家庭裁判所から後見監督人をつけるように言われたということが、よく聞かれるようになりました。

後見監督人とは、文字通り後見人の業務を監督する役割の人で、選任するかどうかは家庭裁判所の判断によります。ご紹介した通り、特に親族による不正行為が多いため、親族後見人の場合は監督人が選任されることが多いようです。

後見監督人には、弁護士や司法書士など第三者の専門職が指名され、本人の収入から相応の報酬を支払う必要が出てきます。年金収入のみで、わずかな金額でやりくりしているときに、この出費は痛いという声は多く聞きますが、本人の財産などの権利擁護の意味で、いたしかたない出費という側面はあります。

この2つの制度のどちらかを利用するように家庭裁判所から指示されるのですが、本人の資産がある程度多くあれば後見制度支援信託、さほど多くない場合で親族が後見人の場合は後見監督人、という傾向があります。