「親なきあと」問題の歴史③~コロニーとは

ここででてくるコロニーとは、どういったものでしょうか。
そのまま日本語に訳せば、入植地、植民地という意味です。障害者施策におけるコロニーとは、1966年に建設決定された高崎の国立コロニー(現在の独立行政法人国立のぞみの園)以降、各地に建設された施設です。収容人員も数百人と大規模なもので、ここに知的障害者が収容され、生活する場所となりました。
コロニーの機能について厚生省では「重症心身障害者、生涯の規模の程度が固定した者を長期間収容し、あるいは居住させてそこで社会生活を営ましめる生活共同体としての総合施設」としています。言ってみれば、一般社会では生きていけない(と決めつけた)知的障害者を、隔離して死ぬまで生活する場所です。
このように書くと、ノーマリゼーションの思想とは真逆の、とんでもない場所のように思えますが、そもそもコロニーの建設は知的障害児の親の強い要請によってされたものです。それまでは知的障害者の居場所は在宅しかなく、貧困などで悲惨な状況に合った中で親たち自身が終身保護を可能とする施設(1952年名張育成園)を建設し、子どもたちを守るよう訴えてきたという動きが大きな影響を与えました。スウェーデンやアメリカなどの入所施設を参考にして、コロニー施策が進められていきました。
ただ、日本では設立がスタートした頃、すでに欧米ではノーマリゼーションにより脱施設化が始まっていたり、施設内での職員による入居者への虐待などもあったりして、当初から施策自体にはさまざまな批判もありました。しかし、親にとっては自分たちがいなくなったあとの不安というのはとてつもなく大きかったですし、その不安を払拭してくれる場所であったことは間違いありませんでした。