福祉セミナー@高崎②

刑務所に入っていた人が刑期を終えて釈放となり、さあこれからは自由に生きていいよと言われても、戻る家族や支援者がいなければ、住むところもなく、もちろん仕事もなく、どう生きていけばいいかわからないですよね。これが知的障害者であればなおのことそうでしょう。この社会復帰をバックアップするための役割が福祉に求められています。
ただ、福祉側で出所した人をいきなり預かっても、その人の人となりや、なぜ、どのような経緯で罪に問われたのか、刑務所内での生活はどうだったのか、などわからなければどいう対応していいのかわかりません。やはり司法と早い段階で連携し、地域の行政とも情報共有しながら再度社会に参加できる道を探らなければなりません。
このテーマに取り組んでいるさまざまな立場の方のお話を伺いましたが、本当にみなさん大変な状況の中、再犯などが起きたりと良い結果が出るとは限らない中で、根気よく支援される側の人と向き合っているなと、感銘を受けました。自分にはとても真似できない、やってらんないよと頭にきてしまうだろうなあと、正直思ってしまいました。
すみません、自分でも全然話が整理できてなくて、読んでいただいてもよくわからないかと思います。ですので具体的な事例をご紹介します。
ある男性がなぜ窃盗の罪を犯したのか、過去の成育歴を調べて養護施設の方に話を聞いたら、とても優しい性格で、就労していたときにはそのお給料で花の種を買って植えていたとのこと。ところが、突然それまで会ったことのない母親が出てきて、本人と働いたお金が入った通帳を持って行って、すぐに本人だけがまた帰ってきた。それから転落が始まった…
この話を聞くと、私などはなんてひどい親だと思うだけですが、支援している方々は、なるほどこの男性はちゃんと就労していた時期があるんだ。だったら何とか彼と信頼関係を築いて、彼の思いや希望に寄り添って、またあの働いていた、彼の輝いていた時代を取り戻そう、と考えるんですね。
罪を犯した多くの知的障害者は、家族に認められたり褒められたりすることがなく、もしかしたら怒られたこともなく、放っておかれた環境て育ってきています。そういった人と信頼関係を作るというのは、並大抵のことではできないことだと思いますが、支援する方々は本当に粘り強く、相手の話を聞いて、多くの方々と連携を取って、一人一人の方のために社会復帰の道筋を作ろうとしています。
恥ずかしながら私はまったくこのテーマについて無知でした。自分に何ができるかなどと軽々に言えるものでもありません。ただ、こういった大きな問題が厳然とあることは、しっかり受け止めていきたいと思いました。
(この項続く)